「マーラーの秋」というわけでもないのですが、秋にかこつけて今回もマーラーの交響曲第5番の演奏を紹介いたします。今回紹介するのは、マルクス・シュテンツ/ケルン・ギュルツェニッヒ管弦楽団(2009年録音)、ミヒャエル・ギーレン/南西ドイツ放送交響楽団(2003年録音)の2枚です。
まずは、シュテンツから。前回紹介した上岡同様、この指揮者もメロディの流れをとても大事にしていると感じました。テンポの緩急が絶妙なのはもちろんなのですが、この指揮者は聴く方の予想以上にテンポをあおり立てていきます。この曲でこうした表現を聴くのは初めてだと思います。よってスタジオ録音ながらまるでライブのような緊迫感が楽しめます。快速で演奏されている第4楽章(8:42)もロマンの香り満点で素晴らしい。この楽章の中間部のテンポ、終楽章の「’」や最後のクライマックスにおけるPesanteの生かし方など、私の理想とするイメージにかなり近い演奏となっています。 細部を磨くのは現代の演奏としては当たり前とも言えますが、その上にこの演奏のようにこうしたテンポの緩急によるライブ感を表出させることができるのが、21世紀らしい演奏と言えるのかもしれません。 また、この演奏はSACDによるハイブリッド盤なのですが、これも上岡同様中低音域を大切にした録音となっています。オーケストラ全総の時の音の塊の密度感がとても充実したものになっています。リアルで量感のあるバスドラムの低音もオーディオマニアにはたまらないでしょう。 現代音楽演奏の雄ギーレンが演奏する交響曲第5番は、いかにも彼らしい鋭いスコアの読みを感じさせられます。といっても分析的な演奏ではなく、流れを重視したゆったりとしたスケールの大きい仕上がりになっています。シュテンツとは正反対にこちらの方は遅くしていく方に特徴があると言えましょう。決め所でのリタルダントが随所で効いており、そこから表現される重い足取りがこの曲の苦渋さを増しているようにも思います。素晴らしい録音も含めて、これも立派な表現と言えるでしょう。
by htskawa
| 2010-10-02 23:41
| Classical CD
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